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Blog 後藤孝典が語る

Library 会社分割による事業再生 ・ 事業発展こうして会社は強くなる

虎ノ門国際法律事務所 TEL:03-3591-7377 law.tax@toranomon.com

 
   

会社分割は中小企業再建の王道

会社分割とは、弁済可能金額の極大化と社会的損失の極小化をはかる方法です。

私は、ここ10年近く、過剰な債務に苦しむ企業を再建する仕事に専心してきました。これを実現するには、どうしたらよいでしょう。企業の収益性を上げ、他方過剰な債務を減少させることです。とはいえ、収益性を上げることなぞ経営に疎い弁護士には、思い及ぶところではありません。でも過剰債務を減少させる方法については少しぐらい助言できます。

【どんな方法があるのでしょうか】

過剰な債務を減少させる方法は、いくつもあります。裁判所に申し立てる方法と裁判外で実行する方法に区別することから始めましょう。

中小企業が裁判外で債務減少を実現する法としては、各県にある中小企業再生支援協議会がもっとも手軽でしょう。しかし、これは法的強制手段を持ってはいませんから実効性には欠けています。

裁判所に申し立てる方法としては、民事再生や特別清算などがあります。これらは法律上の制度ですから、債務を減少させる法律上の力があります。

この意味ではもっとも相応しいはずなのです。

【民事再生の問題点】

ところが、民事再生を申し立てたとたんに、契約を解除してくる取引先が多くなりました。民事再生は破産と同じだという扱いです。再生しようとすると即座に再生できないことが確定するというのはなんとも不条理です。

民事再生も特別清算も、最終的には債権者集会で債権者の過半数ないしは3分の2の賛成が必要になります。それだけの賛同が得られればいいのですが、それだけの見通しが立たない場合はどうするか。

【会社分割】

最初は裁判外で始めるけれど、状況に応じて裁判所に申し立てる方法に切り替えることもできるし、そのまま裁判外だけで債務減少を実現することもできる方法があります。それが会社分割という方法です。

債務減少を実現するに有効な方法であるとしても、費用が高いとすれば中小企業にとっては手が出ません。裁判所に申し立てる手続きは思いのほかに費用がかかります。


【株式会社企業再生支援機構】

昨年、特別法で新規に設立された株式会社企業再生支援機構は、法的構成としては優れた点があり、お勧めしたいものの一つではありますが、残念ながら費用がかかりすぎます。

入口のDD(事業調査)だけで2千万、3千万と要求してきます。RCCと共通の欠点です。DDを実行するにしても中小企業の場合はそんなに費用はかからないはずです。DDの費用が高すぎるため、申し立てを諦めた会社がいくつもあると聞いています。

この点、会社分割という方法はとりあえずは裁判外で行うものであり、行政組織に申し立てるわけでもありませんから、費用がやすいことは請け合いです。

法人税の確定申告書をみるだけで、どのあたりに粉飾があるか、収益性が高いのはどの部分か、または低いか、どうすれこの企業の収益性を上げることができるかは、だいたい分かります。

【ところが困ったことに、会社分割は債務の支払いを逃げるためにするものだと、思い込んでいる人がいます。弁護士にも裁判官にもいます。とんでもない思い間違いです】

しかし、そのような疑いをかけられるについては、会社分割を実行する側にも問題があると考えた方が公平でしょう。多分、債務を逃げるために会社分割を使う人もいるのでしょう。

【10年間に弁済できる金額を計算して債権者に公表】

そのような疑いを避けるためには、会社分割をする直前の資産負債の状態で仮に破産になるとすれば債権者に対する配当はナンパーセントになるかを計算して公表すること、そして会社分割後の一定期間、たとえば10年間に弁済できる金額を計算して債権者に公表することです。

つまり破産配当率と弁済配当率を公表することです。

【会社分割前の破産配当率より会社分割後の弁済配当率の方が高ければ、会社分割は破産より望ましい方法だということがはっきりします。】

新設分割であれば会社分割計画書の中に、新設会社が旧会社の債務の一部を債務引受すると明記しておけば(吸収分割であれば吸収分割契約書の中に明記しておけば)会社分割は債務弁済を逃げるためのものではないということが明瞭になります。

【会社分割の意義とメリット】

債務が過剰であり収益が相対的に低ければ、企業は支払いを止め倒産から逃れられない。しかし倒産すれば従業員は行くところがなくなり、取引先は連鎖倒産するかもしれず、金融機関は資金を回収できなくなる。そうである以上、企業の一部を清算するが他の一部は生き延びるという形をとる会社分割の意義とメリットが肯定されなければならない。

過剰な債務があり銀行はもう貸してくれない、しかし顧客は一流の大会社だから未来はあるから破産はしたくもない、が、民事再生に入ってしまえば顧客は取引契約を解除してくる。

【このようなとき、会社分割は優れた返済方法を提供します】

マイナス分割による税法上の減価償却を用いる方法とか、組織再編対価としての株式や社債を利用する方法など、いろいろな方法があります。このような手法を使うことが出来るようになれるのは、会社分割という方法が、事業と過剰債務とを一旦切り離し、過剰債務を残す旧会社部分で旧債務と債務免除益を処理し、事業を行う分割承継会社の部分ででは新規の収益活動を即時に開始することができるからです。

会社分割を実行した当初から旧債務の返済計画を立てることができるのです。


【なんといっても会社分割は倒産の直前に倒産を回避できることです。

倒産しないのですから債権者に返済することができます。】

もちろん従前の債務者ではなく会社分割によって新設されたか吸収分割による承継会社がする弁済です。

そして倒産した場合の破産配当率より高い弁済配当を実現できたとすれば金融債権者にとっても会社分割は望ましい方法であったといえるはずです。

それ以上に倒産を回避できた意義は重大です。

従業員にとって職場を維持できたのですから。

営業上の債権者にとっても連鎖倒産を回避できたのです。

会社分割は、倒産よりもはるかに高い配当を実現する方法であり、働く職場を確保する方法なのです。

いってみれば、弁済可能金額の極大化と社会的損失の極小化をはかる方法なのです。

債権者とは真剣な交渉をしなければいけません。しかし取引上の債権は承継しますから問題はほとんど起きません。

問題は金融債権です。

会社分割を実行することによって始めて可能になる返済方法を、会社分割の実行前に金融債権者が理解してくれればよいのですが、金融債権者は会社分割をまだまだ理解していない人が多い。

サービサーの中には紳士とはいえない人々もいます。会社分割を好機に、返済不能なほどの高額債務の承継を呑ませようと攻めてくる、獰猛なサメがいるときもあります。

【債権者の同意を得るため平身低頭し交渉に長時間かけていたのでは手形不渡りを出し会社が潰れてしまう、とすれば、やはり会社分割をまず行い、その後に返済計画を提示する外ないでしょう。】

@不動産担保が設定されている不動産で分割会社は使用する予定がない物件は任意売却して被担保債権は返済すること、

A任意売却せず新設会社が事業のために使用の必要がある物件については新設会社が買取り、売買代金は長期間(大抵は10年間)かけて分割返済していきくこと、

B無担保債権については、破産配当率より高い弁済配当率になること、

Cそれを毎年、多分10年間かけて返済していくこと、

Dその長期返済する部分については新設会社が債務引受することを、

誠実に説得すれば、きっと債権者は了解してくれるはずです。この返済方法は、実質上、清算型民事再生のやり方と同じなのですから。

デフレ状況にある現在の状況を考えれば、倒産を回避できる意義は重大です。

@従業員にとって職場を維持できる。

A営業上の債権者にとっても連鎖倒産を回避できる。

ここで多くのやる気のある中小企業が踏ん張ることは、日本の生産供給能力を維持し、デフレ脱却への道筋を作ることになります。




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