きわめて多くの事業について事業会社が会社分割によって吸収会社に事業を承継させたり、新設会社に事業を承継させる場合には、行政庁の許可、認可に関わらせる規制があります。その理由はさまざまですが、主としてそれら業種が公衆の安全にかかわる場合です。しかも、その規制の仕方も、事業の性質や規制の目的の違いから、その規制の仕方もさまざまで、一律ではありません。数の上では、多くの事業規制法が、合併と同様に、会社分割の方法を、事業の承継方法として認めたうえで、会社分割があれば行政上の許可、承認も新設会社、吸収会社に承継されていくことを認める構造になっています。
それが商法が会社分割制度を導入した法の趣旨からすれば望ましい行政のあり方というべきでしょう。しかし、建設業法などは会社分割という概念自体を認めていません。風俗営業法では会社分割という事業承継の仕方を認めてはいますが、株主総会の事前に承認申請することを要求しており、事後に承認を得ようとする場合は、新規に許可申請することを要求しています。もちろん、これらの違いは事業の性質・特殊性や規制の目的に由来するのでしょうが、こと会社分割の実務においては、これら事業規制法の内容を知っておかなければ、商法上も税法上も問題がない会社分割が出来上がったとしても、肝心の行政許可の承継が認められないかもしれません。 とすれば、依頼者との関係では適切な業務を遂行したことにはならいでしょう。この意味で、行政法における会社分割の取扱いがどうなっているかは極めて重要です。ところがこのように重要な行政法規における取扱い方法を記載した本が出版されていないようです。
そこでこれら行政法における規制がどのようになっているかを、資料をもって明らかにしようとしました。事業規制行政法に会社分割に関する規定が置かれている法律は、実に数多くありますが、そのすべてをここに掲記する必要はないでしょうから、本書では日常生活に比較的近接した事業だけに絞ることとしました。以下、取り上げた事業規制法の会社分割についての規制の概略だけを指摘し、関係する法令、規則、通達などをできる限り掲げる方法をとることにします。
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