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中小企業債務者からみた不良債権処理    税務弘報2005年5月号


弁護士 後藤孝典
 

I 問題の所在
本年4月1日に、懸案のペイオフが解禁される。これに伴い地域金融機関の選別・破綻が進むであろうし、中小企業に対する不良債権の処理も本格化するであろう。しかし、中小企業に対する不良債権を処理するにあたっての、もっとも根本的問題が解明されている、といえるのであろうか。つまり、中小企業にとって不良債権処理とは、なにを意味するのか、という問題である。
債権というものが、法律上は債権者に帰属するものでありながら、その法律的履行可能性は債務者に依存する。したがって、不良債権処理の課題を債権者の観点から捉えることも可能であるが、債務者の視点から捉えるのが本筋ではなかろうか。不良債権処理の段階では債権者と債務者は対立する利害当事者として立ち現れざるをえない。このため、抽象的に不良債権処理方法一般を論ずることは不可能なはずである。債権者の観点から解決手法を考えるか、それとも債務者の観点から捉えるかは、不良債権処理にあたっての、まず明快にすべき自己の立場というものであろう。このような立場を曖昧にさせたままの不良債権処理の提案は、社会にとって有害である。現今の不良債権の累積が、極少数の金融機関債権者と天文学的多数の債務者との間の、間接金融構造を媒介として発生してきたものであること、加えて、かかる不良債権の累積が主として金融機関に対する金融行政の大失敗と金融機関の失敗によって齎されたことを考えると、不良債権処理の手法は、間接金融債権者の側よりも(注1)、圧倒的多数である債務者の観点から構成するのがより合理的であるはずだ。過剰債務からの企業の再生の困難さと社会的な高度の必要性を考えると、債務者のうちでも中小企業債務者の観点を重視しなければならない(注2)

II 債権者の視点か債務者の視点か
不良債権処理問題を扱う論者のほとんどが債権者の視点に立っているため、不良債権の処理にあたって必須不可欠の論点である債務者に特有の問題点に対する検討が抜け落ちてしまっている。金融機関が現在まで提案してきた不良債権処理の手法が、山のような不良債権の堆積を作り出す原因となった手法とどのように違うのか、疑問である。債務者にとっては、不良債権の処理とは、不良債権の一部ないしは全部の消滅の問題であり、自己破産回避の問題であり、企業再生の問題である。つまり生き死に、の問題である。ところが、金融機関債権者は、債権の無税償却の問題として捉え、推進してきた経緯がある。
共同債権買取機構は不良債権の売却処理による税務上の無税償却を唯一の目的として構想されたものであった。「金融と産業の一体再生」を目指した産業再生機構は、「産業」よりも「金融」機関債権者の再生に主眼を置いた組織であったことは明瞭であった(注3)。「私的整理ガイドライン」は、全国銀行協会と日本経団連とで構成された研究会で作成されたもので、司法制度を利用しない私的整理により、金融機関の不良債権と債務者企業の過剰債務とを一体的に解決しようとする計画であった。複数の金融機関の私的協議によって債権放棄(債務免除)を実現するための「金融界・産業界の経営者間の一般的コンセンサス」(注4)として作成されたもので、金融機関債権者にウエイトを置く内容である。産業活力再生特別措置法に基づく認定を受けた事業再構築計画等における「債権放棄を含む計画」では、処分を予定している含み損を抱える資産については税務上評価損を認めようとするものである(注5)から、債権者と債務者の両者に目配りした手法というべきかもしれない。しかし、ここでの評価損は固定資産などの評価損のことであって、債権の評価損ではありえない。これらに対し整理回収機構は、厳しく取り立てることによって不良債権そのものを減少させようとする債権者の視点に立つものであった。しかし、取立ての寛厳によって不良債権が増減するような状況は初めからなかったから、不良債権処理のフィールドから見れば、方向違いへ走っていってしまったようだ。整理回収機構は、預金保険機構の100%子会社であるのに株式会社組織であることからか、現在、公的性質の仕事をしているのか、それとも単に収益活動をしているのか、よく判らないところがある。

III 不良債権処理か税務処理か
不良債権処理を論ずるにあたって債権者の視点に立つ論者は、不良債権そのものを消滅、減少させる方法を直接に構築する方法を取るのではなく、税務上の無税償却というインセンティブを与えることによって不良債権処理を促進させようと図ったといえるであろう。いかにも債権者好みの手法であった。
債権者の立場からみて、私的整理段階における不良債権の無税償却方法としては、債権の売却、債権の評価損の計上、債権の放棄の三つが考えられる(注6)。債権売却による売却損の計上は、売却先の第三者性が確保されている限り、税務上もっとも堅牢な方法ではあろうが、不良債権処理の観点からすれば、債権者の帳簿から消滅するだけの、単なる債権帰属主体の交代にすぎず、いわば「飛ばし」であって、債務者からみれば法的にはなにも変りはしない。社会一般から見ても不良債権の処理とは言い難い(注7)。1993年に設立された共同債権買取機構は、無税償却を目的とした債権売却の受け皿として、銀行が寄り集まって組織した、いわば身内の組織であったから、税法の観点からすれば恣意性が排除されているとは言い難い。債権そのものの処理能力をもたなかった共同債権買取機構が、サービサー法施行後の、2004年に整理回収機構に吸収されて消滅した理由は想像に難くない。債権の評価損計上による無税償却は、債権者としてはコストが低く望ましい方法ではあろうが、法人税法が許容するはずがない(33条2項)。これにかわって債務者の債務超過の状態が相当期間継続している場合は、回収不能見込み額による、個別評価金銭債権にかかる貸倒引当金(法法52条1項)への繰入が認められている。これへの繰入は「間接無税償却」というべきものである(注8)が、損金計上は貸倒引当金勘定への繰入限度額(法施行令96条1項2号)によって厳しく制限されているし、繰入が認められる場合であっても債務者の課税所得に影響を与えるわけではない。また直接に債権の消滅を齎すわけでもないから、社会一般から見て不良債処理方法として高く評価されるというわけにはいかない。したがって、無税償却による不良債権処理方法の主流は自ずと、税務実務上無税償却を認める限度での、債権放棄の方法へと向った。債権放棄を拡大させるために国税に対する無税償却への要求が声高になり、金融機関においては、債権償却証明制度の廃止による無税償却の自己判断による拡大へ、さらには有税償却によって支払った税金の資産計上を求める税効果会計の導入へと、次々に税務上の処理技術へと関心が向かった。

IV 「私的整理ガイドライン」
「私的整理ガイドライン」は、債権者に対して、無税償却処理のインセンティブを与えて債権放棄させようとするものであった(注9)。無税償却の基礎は、法人税基本通達9-4-1、9-4-2を踏まえ、債務者の再生計画に「合理的な再建計画」性を実現させることによって、債権放棄額である経済的利益の額が寄付金の額には該当しないとして無税償却を実現しようとしたものであった。法人税基本通達9-4-1は、子会社や事業関連性を有する企業に対して債権放棄等の「損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになる」ことが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするにいたった等そのことについて相当の理由があると認められるときには寄付金の額には該当しない、と規定する。つまりは損してトク取れ、ということで、放棄したほうが債権者に有利であるという場合である。同9-4-2は、要件が二つある。第一は債権放棄等が「子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもの」であることである。つまりは、経済的出捐をしても子会社等の倒産を防止したほうが有利な場合ということであるし、第二は、利害の対立する複数の支援者によって策定されたなど「合理的な再建計画」に基づくものでなければならないということであるから、つまり、債権者全員が倒産を防止したほうが有利と判断している場合ということである。したがって債権者の都合だけを判断要素とするものであった。債務免除を受ける債務者側については、私財提供があった場合の欠損金の損金算入を認める法人税法59条、同施行令117条4号、法人税基本通達12-3-1(3)を踏まえて、債務免除が「多数の債権者によって協議の上決められ」たもので恣意性がなく、かつ内容に合理性があるとする場合であった。つまりは、上記第二と同様、債権者全員が倒産を防止したほうが有利と判断している状況がある場合である。
このように、無税というインセンティブを与えて不良債権処理を促進させようという「私的整理ガイドライン」の内容は、債権者の全員の合意によって、債権者が倒産させたくない債務者だけには債権放棄するという性質をもった、全銀協と経団連の合作による債権者のマニフェストともいうべきものであった。しかし、金融機関債権者が数多くにわたる場合、債権者間の合意を成立させるのは事実として、きわめて困難である。どの程度成果を挙げることができたのであろうか(注10)

V 経営責任の明確化
「私的整理ガイドライン」においては、債権者に債務の猶予・減免を求める前提として、債務者企業自身が再建のための自助努力をすることはもとより、その経営責任を明確にすること、株主が最大限の責任を果たすことを予定するとしている。一見もっとものように聞こえる。しかし、この経営責任を明確にするとはいかなる意味であろうか。同ガイドラインとともに公表された「私的整理ガイドライン Q&A」は、そのQ40において、「私的整理による債権放棄を受ける場合には、安易な債権放棄を招かないようモラルハザード対策を講じるべきであり、--------けじめとして経営者(陣)の退任を原則としています。」と回答を示している。この意味は判然としない。が、要するに、「債権放棄」の結果、債務者に「モラルハザード」が発生しないよう債務者の経営者を原則として退任させるべきだとするものであろう。したがって、ここで謂うモラルハザードとは、安易に債権放棄すると債務者はいつも自己の責任を問われることはないと誤解して、また不良債権を作りかねないということを意味するのであろう。とすれば、債務者が中小企業の場合、ここでいうモラルハザードが発生することはまずありえない。なぜなら、(1)この発想は、不良債権というものは主として債務者が作るものだという前提に立つものであるが、現今の不良債権の発生原因を考えるとき、債務者に一半の責任を肯定しなければならないにしても、金融行政と金融機関の責任は圧倒的であるからだ。(2)債務者が中小企業である場合には、経営者が債務者会社の連帯保証人にさせられているため、債務者と経営者とは分かちがたく結びついており、債務者が倒産するときは経営者も破綻するからだ。(3)そして、金融機関債権者が安易にであろうと極めて峻厳にであろうと、とにかく、私的整理の段階において、債務者に債権放棄した事例が存在しないからだ。筆者は中小企業に対する、私的整理段階における、債権放棄の事例をまったく扱ったことも聞いたこともない。
このようなモラルハザードが生じる場合があるとすれば、それは債務者が大企業の場合だけであろう。中小企業の場合は、ほとんどの場合、経営者は主債務者会社の連帯保証人にさせられているからだ。「私的整理ガイドライン」が依拠する法人税基本通達において、債権の回収不能を前提としている「金銭債権の貸倒れ」による損金算入を認める法人税基本通達9-6-2が、担保物がある場合は「その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理することはできない」とし、この直後の(注)で、「保証債務」がある場合は、「現実にこれを履行した後でなければ貸倒れ対象とすることはできない」と注記している。このため、経営者による連帯保証が未だ履行もされていない段階で、法人税基本通達9-4-2における「合理的な再建計画」に該当するとされるはずがありえない。連帯保証債務が付着している場合には、まず経営者に対し連帯保証債務の履行が請求されるはずである。つまり、まず経営者の責任が追求されるのであるから、それより前に、主債権が放棄されることはあり得ないのである。したがって、中小企業の場合は債権放棄をするときは経営者の退任を求めなければモラルハザードが発生しかねないということは、前提が成立せず、まったくありえない。このように中小企業から見れば、「私的整理ガイドライン」は適用の余地がない(注11)

VI 中小企業の場合
中小企業の場合、「私的整理ガイドライン」は税務のうえから見てその適用の余地がないだけでなく、企業再生の観点から見てもその内容の有効性に疑問がある。中小企業においては、親族に後継者がある場合は別であろうが、経営者に代わりうる人材はなく、経営者の退任は企業の経済価値の劣化をまねき、場合によれば企業の崩壊を招くことにもなりかねないからだ。このためもあって、中小企業債務者に対する債権者の側に税務上無税償却を認めることができ、債務者の側に債務免除益を消すに足りる欠損金があるとしても、経営者の退任を要求する「私的整理ガイドライン」をそのまま適用することはできない。
しかし、にもかかわらず、債務者企業が中小企業としかいいようのない規模、内容であっても、「私的整理ガイドライン」に即した処理が金融機関債権者から要求されている実例が数多いというという事実がある。ここにも、「私的整理ガイドライン」が金融機関にとってのガイドラインであることを窺わせる理由がある。法的整理ではなく、いわゆる私的整理の範疇においては、産業再生機構が、事実上、大企業の再生に特化しているのに対し、中小企業のための「合理的」事業再生計画の立案に関与している組織は、現在、整理回収機構と産業活力再生特別法に基づき、各県の商工会議所など認定支援機関(同法29条の2)に設置されている中小企業再生支援協議会(同法29条の3)であろう。過剰債務に苦しむ中小企業に対して、金融機関は整理回収機構か、あるいは中小企業再生支援協議会に事案を持ち込むよう勧奨している。当該債務者が、債務免除を正当化できるだけの「合理的再建計画」を作成提出できるか否かを客観的に審査してもらうことを求めるためである。しかし、整理回収機構は再生計画立案のため手数料と、企業価値調査(デュウディリ)のための会計士等を雇用する費用の負担などを要求するのが普通であり、その合計額は最低でも3000万円を超えているようだ。一方、中小企業再生支援協議会はそのような費用を要求しないか、企業価値把握のため専門家に調査依頼する費用が必要な場合であってもごく少額なため、債務者は前者に事案を持ち込むことを快しとせず、後者に持ち込む事例が多くなっている。しかし問題は、整理回収機構においても、中小企業再生支援機構においてさえも、「私的整理ガイドライン」に即して再生計画を作成するよう指導がなされている事例がかなり見受けられる事実である。複数の金融機関債権者と債務者との債務返済計画についての直接の交渉が行われるときにおいてはもちろんのことである。このため、過剰債務から脱出して再生を図ろうとする中小企業は、前門に虎を後門に狼を拒がなければならない。この矛盾を前に、中小企業に対する不良債権の処理は呆然として立ち竦み、一歩も前進できない状況がまれではないのである。

VII 連帯保証
中小企業にとって、この矛盾を解決する方策が見つけ出されなければならない。発想の転換が必要であろう。中小企業においては、責任追及と退任とを同時的に実現することができない以上、この両者を切り離すべきである。 中小企業に対して、金融機関債権者は現実にはいかなる事情があろうとも債権放棄はしない。物的担保がある場合は当然、それがない場合においても同様だ。経営者の連帯保証があるからだ(注12)。不良債権処理問題における中小企業の特殊性は、実に、連帯保証問題に帰着するといってよい。 現行法上、経営者個人の連帯保証責任を法的に解消する方法は、主債務者企業とともに連帯保証人個人として、ともに民事再生を申し立て、その手続きのなかで免責をうるか、あるいは自己破産申し立てに伴って免責を申立てる方法の二通りしかない。しかし多くの場合、民事再生手続きでは個人免責をうるのは簡単ではない。一つには、連帯保証人に対する債権者の追及は極めて厳しいからだ(注13)。もう一つは、製造する商品を大企業に納入している下請け中小企業によく見かける事例であるが、主債務者企業が民事再生を申立てることが、納入先企業と締結している製品納入契約で解約条項に当たるとされているからだ。自己破産とともにする免責については、旧破産法下においても、個人保証をせざるを得なかった個人経営者にとって、きわめて合理性の高い法制度であった。ただ、経営者の自尊心を傷付けるという、心理的抵抗が強かった。しかし「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」(1条)を立法目的とする新破産法の登場によりに、免責が許可される可能性は格段に広がった(新破産法248条)し、免責許可のための審理の手続きも簡略化した(250条)。今後は、自己破産と免責を気軽に申立て、連帯保証の桎梏から早期に開放されるようにすべきである。

VIII 債務者にとって「不良債権処理」とはなにか
債務者にとって「不良債権処理」とはなにか。債権者が中小企業に対しては債権放棄をしない以上、債務者側は、経営者の破産だけではなく企業体まで失うこととならざるを得ない。しかし、中小企業は、自己破産と免責だけで終ってしまうような、弱い存在ではない。中小企業が固有名詞を持つ経営者と分かちがたく結び付けられている企業体であるということは、経営者の破産法上の免責さええることができれば、実は再び企業体を復活させうる契機を持っていることを意味している。大企業ではありえないことである。中小企業にとって最大の特徴は、かかる復活可能性にある。これこそが中小企業にとっての柔軟な「不良債権処理」である。再び企業体として再生できたとき、はじめて中小企業にとっての「不良債権処理」が終った、というべきである。中小企業にとっての不良債権処理の手法も、かかる再生復活の観点から検討されなければならない。
不良債権を法的、税務的に「処理」するだけでなく、企業体そのものを債務者の手に取り返すところまで完遂されなければならない。債務者企業が不良債務から脱却するための法的手法としては、会社分割(注14)、会社分割後の営業譲渡、詐害行為に該当しないようにする営業譲渡、抵当権消滅請求(民法378条以下)、DESやDDS、信託や中間法人を介しての倒産隔離の利用などがある(それらを論ずるのは別の機会にせざるをえない)が、いずれの方法を用いるにせよ、債務の大幅な切り捨て処理が終了した、いわば出口の段階で、新生債務者企業に再生のための良質な金融が提供されなければならない。
しかしながら、不良債権を山のように作り出した間接金融と同じ手法で良質な金融が提供できるとは信じられない。金融の仕組みを健全化させるには、まず、連帯保証制度そのものが規制されなければならない。金融機関にとって恥ずかしくも、おぞましい包括根保証契約はようやくこの4月1日から廃止される(民法の一部を改正する法律第147号)。あまりにも遅かったが、一歩前進ではある。しかし連帯保証制度を規制すべしとする議論が、あまりにも微弱すぎはしないか。
金融機関が中小企業に融資するにあたり、財務的には特段の意義がないのに、債務者経営者個人に連帯保証を要求してきた理由は、間接金融制度の下における金融機関は債務者の事業を理解する能力や経営財務状況をモニタリングする能力に欠けることの裏返しであった。自己に本来の能力がないのに、それを隠して、相手に不当に過大な要求をしてきたのだ。およそ金融の仕組みとは言いがたい、現在の陰惨な個人連帯保証制度が規制されないとすれば、間接金融にかわって、債務者の経営状況や財務状況をモニタリングすることができる、新たな金融の仕組みを作り出すほかはない。従来の間接金融の欠陥は、金融機関だけにリスクが集中するところにあった。新たな金融の仕組みは、リスクを広く分散することができる構成でなければならない。 中小企業は、本来金融機関にとって最大の顧客であることが想起されなければならない。リレーションシップバンキングの構想(注15)も同じ理解に立つものであろう。地域産業に対する貢献と地域金融機関の健全化を実現しようとするこの構想は、市場型間接金融(注16)の進展を齎さざるをえないであろう。CLO、CBOそれにプロ私募債を組み入れた投資信託の盛行が予測される。この4月1日から実施されるペイオフ解禁を迎え、厖大な一般大衆預金者の預金はリスク市場に還流しようとしている。日本の一般大衆が為替リスクを懼れないで取る用意があることはソブリンボンド組み入れファンドの好評でほぼ証明された。市場型間接金融と中小企業の財務状況を最も近くから日常的に観察している税理士によるモニタリング機能を結びつけた仕組みが、もっとも合理的な市場型間接金融ではないかと考えている。
                                以上


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